大判例

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大阪地方裁判所 昭和30年(モ)1010号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実および判断〕債権者は、債務者が債権者所有の本件建物を不法に占有して債権者の明渡請求に応じないのみか、同建物の一部の構造を変更しようとしていることを理由に仮処分を申請し、右建物を執行吏の保管に移し、現状不変更を条件として債務者にその使用を許すことなどを内容とする仮処分決定を得たとして、同決定の認可を求めた。

債務者は、適式の呼出を受けながら異議事件の口頭弁論期日に出頭しなかつたが、陳述したものと看做された準備書面には、債権者は本件仮処分によつて保全されるべき権利を有しないから、右仮処分決定は取消を免れず、本件仮処分申請は却下されるべきである旨が記載されている。

これに対し、債権者は、本件仮処分決定は、その本案訴訟(建物明渡請求事件)の確定判決に基く執行の終了により当然失効しているから、異議は却下されるべきであると述べた。

判決は、被保全権利の有無につき何ら触れることなく、次のとおり判断して、前後仮処分決定を認可した。

「仮処分決定に対する異議の申立は右決定成立後その存続中ならば異議申立の利益の存する限り何時でも適法になしうるが、一般に係争物に関する仮処分手続は本案請求権の強制執行保全を目的とするものであるから債権者が強制執行に著手する迄の期間債務者の財産の現状を維持せしめるにある。従つて債権者が強制執行に著手すれば仮処分は本執行に移行し、仮処分決定の効力自体は本執行開始と同時にその目的の到達により将来に向つて当然消滅し爾後異議申立の利益は消滅すると解するのが相当である。尤もその効力が消滅に帰し形式上存在する仮処分決定の存在は債務者の名誉信用に事実上悪影響をもつことがあつても、異議申立の利益は保全処分の効力の阻却に尽きるのであるから、既にその効力消滅後まで右仮処分決定当否の審判を求める利益を肯定する必要はない。本件についてこれをみるに公文書であることにより成立の真正であることが認められる疎甲第一乃至第四号証によれば債権者は本件仮処分後本案訴訟を提起し大阪地方裁判所昭和三十年(ワ)第一三二七号として係属し、昭和三十一年三月一日原告(債権者)勝訴の判決言渡があり同判決は確定したので昭和三十一年十月二日右確定判決に基き右仮処分執行を本執行に移し同日右執行を終了し強制執行手続は完結したことが認められる。他に右認定を左右する疎明はない。

してみると右強制執行の終了により本件仮処分決定はその目的の到達上より債務名義たる効力は当然これを失い爾後異議申立の利益は消滅したのであるが、本件仮処分決定自体の当否を判断すべき本件訴訟手続に於ては他に取消原因がないから前の仮処分決定はこれを認可すべきものとし(後略)」

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